マイナンバーカードと各種サービスを紐付けると、どんな恩恵があるのか。気になっている方も多いでしょう。
2024年12月から従来の健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証への移行が本格化しました。公金受取口座の登録や行政手続きのオンライン化も進んでいます。
ただし、便利になる一方で「個人情報が漏れないか」「本当に必要なのか」といった不安の声も聞かれます。
この記事では、マイナンバー紐付けによって得られる具体的なメリットと、知っておくべきリスク・注意点を網羅的に解説します。登録方法や確認手順も紹介していますので、判断材料としてお役立てください。
マイナンバーと健康保険証の紐付けで得られる医療面のメリット
マイナンバーカードを健康保険証として利用登録すると、医療や薬の受け取りがスムーズになります。
2025年3月末時点で、マイナンバーカード保有者の8割以上がマイナ保険証の利用登録を完了しています。医療機関や薬局での受付が効率化されるだけでなく、過去の診療情報を活用したより安全な医療を受けられる点が特徴です。
参照元:マイナ保険証 2024年12月、マイナ保険証を基本とする仕組みへ|政府広報オンライン
では、具体的にどのような場面で役立つのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
限度額適用認定証なしで高額療養費制度が窓口適用される
入院や手術で医療費が高額になった場合、通常は事前に「限度額適用認定証」を取得しなければ、窓口で一時的に高額な自己負担が発生します。その後、払い戻しを受ける手続きが必要でした。
マイナ保険証を利用すれば、限度額適用認定証を取得する手間が不要になります。窓口での支払い時に、自動的に自己負担限度額までの請求となるのです。
具体的な流れは以下のとおりです。
- 医療機関の受付で顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く
- 画面で「限度額情報の提供」に同意する
- 会計時に限度額を超えた分は請求されない
急な入院でも、役所に行って書類を申請する必要がありません。入院前の準備負担が大幅に軽減されます。とくに高齢の方や、遠方の役所まで足を運びにくい方にとって、大きなメリットといえるでしょう。
過去の処方薬や健診データを医師と共有し適切な診療を受けられる
マイナ保険証を使えば、本人の同意のもと、過去に処方された薬の情報や特定健診の結果を医師や薬剤師と共有できます。
「以前どんな薬を飲んでいたか思い出せない」という経験はないでしょうか。とくに複数の医療機関にかかっている場合、自分の服薬履歴を正確に把握するのは難しいものです。
マイナ保険証を提示すると、以下の情報が医療機関側で確認可能になります。
- 過去に処方された薬剤の情報
- 特定健診の結果データ
- 診療履歴(電子処方箋対応医療機関の場合)
この仕組みにより、薬の飲み合わせによる副作用リスクの軽減や、重複投薬の防止につながります。旅行先や災害時に初めての医療機関を受診する際にも、日頃の服薬状況を正確に伝えられるため安心です。
令和7年10月から救急搬送時にも活用が始まっています。救急隊がマイナ保険証から情報を取得し、搬送先の医療機関に事前共有することで、より迅速な治療開始が期待できます。
医療費控除の明細作成がマイナポータル連携で自動化される
確定申告で医療費控除を受ける際、領収書を1年分集めて金額を計算するのは骨の折れる作業です。
マイナポータルを活用すれば、医療費の情報が自動で管理されます。紙の領収書を保管しておく必要がなくなり、e-Taxとの連携によって医療費控除の申請データが自動入力されます。
- マイナポータルで利用者登録
- 家族分も含める場合はマイナポータルで代理人の登録
- e-Taxに連携して確定申告書を作成する
毎年2月9日以降、申告する年分の1月から12月までの保険診療分に係る医療費情報を、自動入力できます。これまでのように、手書きで明細を作成する手間がなくなります。計算ミスの心配も減り、申告作業の効率化が図れます。
保険診療分であっても、はり・きゅう等の施術費用や整骨院・接骨院の柔道整復療養費など取得できない情報もあります。確定申告の直前になって慌てないよう、余裕をもって確認しておきましょう。
転職や引越し後も新しい保険証を待たずに受診できる
従来の健康保険証では、転職や引越しのたびに新しい保険証が届くまで数週間かかることがありました。その間に体調を崩しても、保険適用で受診できないケースがあったのです。
マイナ保険証なら、新しい医療保険者への加入手続きが完了していれば、保険証の届出を待たずに受診できます。カード自体を作り直す必要はありません。
これは、マイナンバーカードのICチップと連携した「オンライン資格確認」の仕組みによるものです。保険者の変更情報がシステム上で更新されるため、物理的なカードの発行を待つ必要がないのです。
結婚による氏名変更の場合も同様です。手続きさえ完了していれば、新しい名前でそのまま受診できます。
2024年12月以降、従来の保険証は新規発行されなくなりました。マイナ保険証を持っていない方には「資格確認書」が交付されていますが、マイナ保険証のほうがより便利に使える場面が多いでしょう。
マイナンバーと公金受取口座の紐付けで給付金の受け取りが簡単になる
公金受取口座登録制度は、給付金や還付金を受け取るための預貯金口座をあらかじめ国に登録しておく仕組みです。
2022年から運用が開始され、多くの給付金等の受取で活用可能となっています。口座を登録しておくと、緊急時の給付金支給がスムーズになるほか、日常的な行政手続きの負担も軽減されます。
具体的にどのような場面で役立つのか、順番に確認していきましょう。
給付金申請時に口座情報の記載や通帳の写しが不要になる
これまで給付金を申請する際は、申請書に口座番号を記入し、通帳のコピーを添付する必要がありました。書類の準備に手間がかかるうえ、記入ミスがあると再提出を求められることもあったのです。
公金受取口座を登録しておけば、これらの作業が不要になります。
- 年金
- 児童手当
- 所得税の還付金
- 生活保護費
- 災害時の支援金
- 失業保険
申請書への口座情報記載が省略されるため、申請者の負担が減るだけでなく、行政側の確認作業も軽減されます。その結果、給付までの期間短縮にもつながります。
なお、公金受取口座を登録しても、各給付金の申請自体は別途必要です。登録しただけで自動的にお金が振り込まれるわけではない点は覚えておきましょう。
所得税の還付金が従来より早く振り込まれる
確定申告で所得税の還付を受ける場合、従来は申告から振込まで1か月から1か月半程度かかっていました。
e-Tax(電子申告)を利用すると、処理期間は約3週間に短縮されます。さらに、公金受取口座を登録していれば、振込先の確認作業が省略されるため、より迅速な還付が期待できます。
確定申告時に公金受取口座を振込先として指定する方法は簡単です。申告書の「公金受取口座の利用」欄にチェックを入れるだけで、口座番号を記載する手間が省けます。
還付金を少しでも早く受け取りたい方は、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 確定申告は2月の早い段階で行う
- e-Taxで電子申告する
- 公金受取口座を事前に登録しておく
口座管理法制度で相続時に被相続人名義の口座情報を把握しやすくなる
親族が亡くなった際、故人がどの金融機関に口座を持っていたか把握するのは容易ではありません。複数の銀行に分散して預金していた場合、すべての口座を特定するまでに時間と労力がかかります。
口座管理法に定める預貯金口座付番制度とは、金融機関にマイナンバーを届け出ることにより、預貯金口座にマイナンバーを付番して管理できるようにする制度です。マイナンバーと口座を紐付けておけば、将来的に相続発生時の口座照会が効率化される見込みです。
これにより、一つの金融機関の窓口で、マイナンバーが紐付けられた他行の口座所在を確認できる仕組みが整備されつつあります。故人の口座を探し回る負担が軽減されることが期待されています。
相続手続きでは、口座の特定だけでなく、残高証明書の取得や名義変更など多くの作業が発生します。口座情報があらかじめ整理されていれば、遺族の負担は大きく減るでしょう。
ただし、預貯金口座への付番は任意であり、登録していない口座は照会対象になりません。また付番する金融機関を選択することはできますが、付番する口座を個別に選択することはできません。
相続対策として活用を考えている方は、複数の金融機関の口座について登録しておくことを検討するとよいかもしれません。
災害時に避難先でも自分の預貯金口座を確認できる
大規模な災害が発生した場合、通帳やキャッシュカードを持ち出せずに避難することがあります。避難先では、すぐに現金を引き出すのは難しい状況です。
口座管理法によりマイナンバーと預貯金口座の紐付けをしておけば、避難先の金融機関で自分の口座情報を照会できます。災害時に預貯金者が申し出ることで、複数の金融機関に分散した口座の所在を一括で確認できる仕組みです。
生活再建に必要な資金を確保するうえで、この仕組みは心強い備えになります。被災直後の混乱した状況でも、口座情報にアクセスできる安心感は大きいでしょう。
マイナンバー紐付けで行政手続きや本人確認がスムーズになる
マイナンバーカードを活用すると、日常の行政手続きが格段に便利になります。
従来は役所の窓口まで足を運び、書類を記入して提出する必要がありました。平日の限られた時間内に手続きを終えるのは、仕事をしている方にとって負担だったはずです。
マイナンバーカードの電子証明書を使えば、オンラインでの本人確認や、コンビニでの各種証明書の取得が可能になります。具体的な活用シーンを見ていきましょう。
コンビニで住民票や印鑑証明書を早朝や夜間でも取得できる
住民票や印鑑証明書が必要になったとき、役所の開庁時間に間に合わない経験をした方は多いのではないでしょうか。
利用可能な時間は早朝6時30分から夜23時まで。土日祝日も対応しています。
- 住民票の写し ※コンビニ交付では住民票コードは記載なし
- 住民票記載事項証明書
- 印鑑登録証明書
- 各種税証明書
- 戸籍証明書(全部事項証明書、個人事項証明書)
- 戸籍の附票の写し
料金面でもメリットがあります。多くの自治体では、窓口交付より100円程度安い手数料で取得可能です。
操作は、マルチコピー機の「行政サービス」ボタンを押し、マイナンバーカードを所定の位置に置いて、4桁の暗証番号を入力するだけ。申請書を記入する手間もありません。
住宅ローンや証券口座開設のオンライン本人確認が簡略化される
金融機関での口座開設やローン申込では、本人確認書類の提出が必須です。従来は運転免許証のコピーを郵送したり、店舗に出向いたりする必要がありました。
マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を使えば、オンラインでの本人確認(eKYC)が可能になります。スマートフォンでカードを読み取るだけで手続きが完了するため、来店不要で口座開設ができるのです。
この仕組みは「ワ方式」と呼ばれ、犯罪収益移転防止法で認められた本人確認方法の一つです。ICチップの情報を読み取るため、身分証の偽造によるなりすましリスクが低く、高いセキュリティを確保しています。
利用が広がっている場面としては、以下のようなものがあります。
- ネット銀行の口座開設
- 証券会社の取引口座開設
- 住宅ローンのオンライン申込
- カードローンの審査申込
郵送でのやり取りが不要になるため、口座開設までの日数も短縮されます。急いで口座を作りたい場合にも便利です。
参照元:マイナンバーカードの「安全・便利なオンライン取引」構想を進めるために|デジタル庁
引越し時の転出届をオンライン提出し役所への来庁を減らせる
引越しをする際、これまでは転出届を出すために旧住所の役所に行き、転入届を出すために新住所の役所に行く必要がありました。
2023年2月から「引越し手続オンラインサービス」が全国で開始され、マイナポータルを通じて転出届をオンラインで提出できるようになりました。
- マイナポータルにログインする
- 「引越し手続」から転出届を入力する
- 電子署名を行って送信する
- 新住所の役所で転入届を提出する
このサービスを利用すると、旧住所の役所への来庁が原則不要になります。同一世帯の家族がいる場合は、まとめて手続きすることも可能です。ただし、転入届については引き続き新住所の役所への来庁が必要です。
このサービスを利用するには、署名用電子証明書が有効な状態のマイナンバーカードが必要です。引越し前に暗証番号なども確認しておきましょう。
マイナンバー紐付けの登録方法と確認手順
マイナンバーカードへの各種紐付けは、自分で簡単に行えます。スマートフォンやパソコンからのオンライン登録のほか、医療機関の窓口やATMでも手続き可能です。
登録に必要なものは、マイナンバーカードと4桁の暗証番号(利用者証明用電子証明書)です。署名用電子証明書を使う手続きでは、6桁以上16桁以下の英数字パスワードも必要になります。
それぞれの登録方法を確認していきましょう。
マイナポータルからスマホやパソコンで登録する流れ
マイナポータルは、行政手続きをオンラインで行えるウェブサイトです。マイナンバーカードがあれば、24時間いつでも各種登録ができます。
- スマートフォンにマイナポータルアプリをインストールする
- アプリを起動して「利用者登録・ログイン」を選択する
- マイナンバーカードをスマートフォンにかざして読み取る
- 4桁の暗証番号を入力する
- 「健康保険証として利用する」にチェックを入れて登録する
パソコンで手続きする場合は、ICカードリーダーが必要になります。対応するカードリーダーは家電量販店やネット通販で購入できます。
公金受取口座の登録も同様にマイナポータルから行えます。金融機関名、支店名、口座種別、口座番号を入力して登録します。
医療機関や薬局の顔認証カードリーダーで手続きする流れ
スマートフォンの操作が苦手な方や、アプリのインストールに抵抗がある方は、医療機関の窓口で登録することもできます。
全国の医療機関や薬局には、顔認証付きカードリーダーが設置されています。受付時にマイナンバーカードをカードリーダーに置くと、利用登録の画面に切り替わります。
- 受付でマイナンバーカードをカードリーダーに置く
- 顔認証または暗証番号で本人確認を行う
- 「マイナンバーカードを健康保険証として登録する」を選択する
- 画面の案内に従って登録を完了する
登録は一度行えば完了です。次回以降の受診時は、カードリーダーに置くだけで保険資格の確認ができます。
初めて訪れる医療機関でも、その場で登録が可能です。「今日は従来の保険証で受診して、次回からマイナ保険証を使う」といった使い方もできます。
顔認証がうまくいかない場合は、暗証番号での認証も可能です。暗証番号を忘れた場合は、役所の窓口で再設定の手続きが必要になります。
セブン銀行ATMから登録する流れ
セブン銀行のATMでも、マイナンバーカードの健康保険証利用登録ができます。全国に約28,000台設置されているため、近くのセブン-イレブンで手軽に手続き可能です。
- ATM画面で「マイナンバーカードでの手続き」または「各種お手続き」を選択する
- 「健康保険証利用の申込み」を選ぶ
- マイナンバーカードをATMの所定位置に置く
- 4桁の暗証番号を入力する
- 利用規約を確認して登録を完了する
手数料は無料です。銀行口座がなくても手続きできます。
ATMは24時間稼働していますが、システムメンテナンス時間帯は利用できない場合があります。深夜や早朝に手続きする場合は、ATM画面の案内を確認しましょう。
セブン銀行ATMでは、公金受取口座の登録はできません。公金受取口座を登録したい場合は、マイナポータルから手続きを行ってください。
紐付け状況をマイナポータルで確認する方法
すでに登録したつもりでも、実際に紐付けが完了しているか不安になることがあります。マイナポータルにログインすれば、現在の登録状況をいつでも確認できます。
健康保険証の利用登録状況については、「登録済」「未登録」といった形で表示されます。公金受取口座は、登録している金融機関名と口座番号が確認できます。
また、マイナポータルでは自分の保険資格情報も確認可能です。健康保険の種別、保険者名、資格取得日などが表示されるため、転職後に保険の切り替えが完了しているかどうかの確認にも使えます。
電子証明書の有効期限もマイナポータルから確認できます。「マイナンバーカード」のメニューを選択すると、電子証明書の有効期限が表示されます。
マイナンバー紐付けで知っておくべきリスクと注意点
マイナンバーカードの紐付けには多くのメリットがある一方、注意すべき点もあります。
カードの紛失や暗証番号の管理、システム障害への対応など、事前に把握しておくことで、いざというときに慌てずに済みます。また、「預貯金が国に把握される」といった誤解も広まっているため、正確な情報を理解しておくことが大切です。
リスクと対策を具体的に見ていきましょう。
カード紛失や盗難による個人情報漏洩の可能性と利用停止手順
マイナンバーカードには氏名、住所、生年月日、性別、顔写真、マイナンバーが記載されています。紛失や盗難に遭った場合、これらの情報が第三者の目に触れる可能性があります。
ただし、カードを拾った第三者が悪用するのは簡単ではありません。理由は以下のとおりです。
- ICチップの情報読み取りには暗証番号が必要
- 暗証番号を一定回数間違えるとロックがかかる
- 顔写真付きのため、なりすましが困難
- マイナンバーだけでは行政手続きができない
- ICチップには、プライバシー性の高い情報は入っていない
- 不正に情報を読み出そうとするとICチップが壊れる
万が一、紛失や盗難に気づいた場合は、すぐに利用停止の手続きを行いましょう。
マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178
音声ガイダンスで「2番」を選択すると、24時間365日対応の一時利用停止窓口につながります。カードの機能を停止すれば、電子証明書を使ったオンライン手続きはできなくなります。
あわせて、最寄りの警察署または交番に遺失届を提出してください。カードが見つかった場合は、市区町村の窓口で一時停止の解除が可能です。
暗証番号の管理不備によるなりすまし被害を防ぐ対策
マイナンバーカードと暗証番号が同時に第三者の手に渡ると、なりすまし被害のリスクが高まります。暗証番号の適切な管理が、セキュリティ対策の要です。
- 生年月日(1990、0315など)
- 電話番号の下4桁
- 「0000」「1234」などの単純な数字
- 他のサービスと同じ番号
暗証番号をメモに書いてカードと一緒に保管するのは絶対に避けてください。財布にカードとメモを入れていて、財布ごと盗まれるケースが報告されています。
また、行政機関や銀行を名乗る電話やメールで暗証番号を聞かれることはありません。このような連絡があった場合は詐欺を疑い、絶対に教えないでください。
暗証番号を忘れた場合は、市区町村の窓口で再設定が可能です。本人確認書類を持参のうえ、手続きを行ってください。ロックがかかった場合も同様の手続きで解除できます。
医療機関のシステム障害でマイナ保険証が使えない場合の対処法
マイナ保険証はオンライン認証を前提としているため、通信障害や停電などのトラブルが発生すると使えないことがあります。
このような場合でも、医療機関では以下の方法で対応してもらえます。
- マイナンバーカード+マイナポータルの画面の提示
- マイナンバーカード+「資格情報のお知らせ」の提示
- 1,2ができない場合:被保険者資格申立書の記入(初診)または口頭確認(再診)
「マイナ保険証が使えないと医療費が10割負担になる」と心配される方もいますが、医療機関側も代替手段を用意しています。システム障害時に受診を断られることは基本的にありません。
不安な方は、「資格情報のお知らせ」をマイナンバーカードと一緒に持ち歩いておくと安心です。この書類は、マイナ保険証の利用登録をしている方に保険者から送付されます。
スマートフォンを持っていない方は、この書類とマイナンバーカードを併せて提示することで受診可能です。
電子証明書の有効期限切れで紐付けが自動解除される点
マイナンバーカードには2種類の有効期限があります。カード本体と、ICチップに搭載された電子証明書です。
| 種別 | 有効期限 |
|---|---|
| カード本体(18歳以上) | 発行から10回目の誕生日まで |
| カード本体(18歳未満) | 発行から5回目の誕生日まで |
| 電子証明書(年齢問わず) | 発行から5回目の誕生日まで |
電子証明書の有効期限が切れると、マイナ保険証としての利用やコンビニ交付サービス、e-Taxでの電子申告などができなくなります。
有効期限の2〜3か月前に「有効期限通知書」が届きます。届いたら早めに更新手続きを行いましょう。更新は市区町村の窓口で行い、手数料は無料です。通知が来ていなくても有効期限の3カ月前から更新ができます。
電子証明書の有効期限が切れた場合でも、3か月間はマイナ保険証として使用可能です。ただし、この期間は保険資格の確認のみで、診療情報や薬剤情報の共有はできません。
預貯金残高が国に把握されるという誤解と分散管理の実態
「マイナンバーと銀行口座を紐付けると、預貯金残高が国に知られてしまう」という不安を持つ方がいます。しかし、これは正しい情報ではありません。
口座管理法による預貯金口座への付番や、公金受取口座登録制度で登録される情報は、氏名住所などの本人情報や、金融機関名、支店名、口座種別、口座番号のみです。預貯金残高や取引履歴が行政機関に通知されることはありません。
デジタル庁の公式サイトにも以下のように明記されています。
マイナンバーの届出をきっかけに、金融機関が国に預貯金残高などをお知らせすることはありません。
税務調査や生活保護の資産調査では、法令に基づいて金融機関に照会が行われることがあります。しかし、これはマイナンバー制度の有無にかかわらず、従来から行われてきた手続きです。
マイナンバー制度は「一元管理」の仕組みではなく、各機関が保有する情報を必要なときに必要な範囲でやり取りする「分散管理」を採用しています。一か所にすべての情報が集まるわけではないため、芋づる式に情報が漏れることもありません。
マイナンバー紐付けが必要か判断するためのポイント
マイナンバーカードへの各種紐付けは任意です。すべての人に必要というわけではなく、ライフスタイルや家族構成によって判断が分かれます。
メリットとデメリットを理解したうえで、自分にとって本当に必要かどうか検討してみてください。判断のポイントを整理していきましょう。
紐付けが向いている人と慎重に検討すべき人の違い
マイナンバー紐付けのメリットを享受しやすいのは、以下のような方々です。
- 転職や引越しの予定がある方
- 複数の医療機関を受診している方
- 確定申告で医療費控除を申請する方
- コンビニで証明書を取得したい方
- 給付金の申請手続きを簡略化したい方
一方で、紐付けを慎重に検討したほうがよいケースもあります。
- デジタル機器の操作に不安がある方
- 暗証番号の管理に自信がない方
- カードを持ち歩くことに抵抗がある方
マイナ保険証を利用しない場合でも、「資格確認書」が無償で交付されるため、医療機関の受診に支障はありません。急いで紐付けを行う必要はないのです。
自分の生活パターンを振り返り、どのメリットが自分にとって価値があるか考えてみてください。
高齢者や扶養家族がいる世帯で押さえておきたいこと
高齢の家族がいる世帯では、マイナンバーカードの管理や更新手続きをサポートする必要が出てくることがあります。押さえておきたいポイントを整理します。
高齢者のマイナンバーカード利用について
- 顔認証が難しい場合は暗証番号での認証も可能
- 暗証番号を忘れた場合は代理人による再設定もできる
- 電子証明書の更新は代理人が手続き可能
扶養家族(子ども)のマイナンバーカードについて
- 15歳未満でもマイナンバーカードを取得できる
- 保護者のスマートフォンで子どもの利用者登録手続きができる
- 子ども名義の公金受取口座がない場合に親の口座を登録することは不可
暗証番号の設定や管理に不安がある方は、暗証番号の設定を不要とした「顔認証マイナンバーカード」も選択できます。ただし、この場合はコンビニ交付サービスなど一部の機能が使えなくなる点に注意が必要です。
世帯全員分のカードの有効期限を把握し、更新時期が近づいたら声をかけ合う仕組みを作っておくとよいでしょう。
最新情報はデジタル庁や総務省の公式サイトで確認する
マイナンバー制度は随時アップデートされています。紐付け可能なサービスの拡大や、手続き方法の簡略化など、変更が頻繁に行われています。
正確な情報を得るためには、公式サイトの確認が欠かせません。主な情報源を紹介します。
SNSや口コミサイトには不正確な情報も混在しています。制度の詳細を確認する際は、必ず公式サイトを参照するようにしてください。不明点があれば、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に問い合わせることも可能です。
