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お年玉のポチ袋に千円・五千円・一万円札の三つ折りでの入れ方

お年玉をポチ袋に入れる際、お札の折り方や向きに迷う方は少なくありません。

三つ折りの正しい手順を知らないまま渡すと、受け取った相手が開いたときにお札が逆さまになったり、折り目が汚く見えたりしてしまいます。

本記事では、千円札・五千円札・一万円札を三つ折りにする正しい方法を解説します。 お札の表裏の見分け方、折る順番、ポチ袋への入れ方まで順を追ってまとめました。

正しいマナーを身につけて、気持ちのこもったお年玉を贈りましょう。

目次

新紙幣を三つ折りにする基本手順と慶事における正しい重ね順

お年玉をポチ袋に入れるとき、「なんとなく」折っていませんか。実は、お札の折り方には縁起を担ぐマナーが存在します。

四つ折りは「四=死」を連想させるため、お祝い事には向きません。一方、三つ折りの「三」は陰陽説において縁起の良い「陽数」とされており、古くから慶事に好まれてきました。ポチ袋そのものも、三つ折りのお札がちょうど収まるサイズで設計されています。

2024年7月3日に発行が始まった新紙幣も、折り方の基本は従来と変わりません。ただし、肖像画の位置やホログラムのデザインが大きく変わったため、きれいに三等分するための「目印」を覚えておくと便利です。

この章では、渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎が描かれた新紙幣を美しく折るコツと、慶事ならではの重ね方について解説します。

お札の肖像画が描かれている面を上に向けてテーブルに置く

三つ折りの第一歩は、お札の表裏を確認することから始まります。肖像画が描かれている面が「表」、建物や風景などが描かれている面が「裏」です。新紙幣では、一万円札に渋沢栄一、五千円札に津田梅子、千円札に北里柴三郎の肖像が採用されました。

テーブルに置くときは、肖像画が見えるように表面を上に向けます。このとき、肖像画の顔が自分から見て正位置になるよう、お札の向きも整えておきましょう。

なぜ表を上にするのか。それは、折りたたんだお札を開いたとき、最初に表面が見えるようにするためです。受け取った人がお札を広げた瞬間、肖像画がパッと目に入る状態が理想的。「いくら入っているか」がすぐにわかる配慮でもあります。

ちなみに、硬貨にも表裏があります。絵柄や漢数字が描かれている面が表、製造年やアラビア数字が刻印されている面が裏。お札と一緒に硬貨を入れる場合は、こちらも表を揃えておくと丁寧です。

最初に左側1/3を内側に折り込み、次に右側を上から被せる

お札の表面を上にしたら、いよいよ折り始めます。手順は「左→右」の順番です。

まず、お札の左端を持ち上げ、全体の約1/3にあたる位置まで内側に折り込みます。肖像画を目印にすると、ちょうど良い位置が見つかりやすいでしょう。次に、右端を持ち上げて、先ほど折った左側の上に被せるように重ねます。

完成したお札を見ると、右側が上に被さった状態になります。これは、生きている人が着物を着るときの正しい合わせ方と同じ見た目です。

着物の作法では、着る本人から見て右側の身頃を先に合わせる「右前」(右が先)が正しく、亡くなった人の装いである「左前」は避けられてきました。お札の折り方も、こうした縁起や日本の慣習に基づいたものとされています。

折り目をつけるときの力加減も大切です。「福がたくさん詰まりますように」という願いを込めて、ふんわりと福々しく折る方法もあれば、「折り目正しく」という意味で、きちんと折り目をつける方法もあります。どちらも正解なので、お好みで選んで構いません。

複数枚を入れる場合は、お札を重ねた状態で一緒に折りましょう。枚数が多くて折りにくいときは、1枚ずつ折り目をつけてから重ね、まとめて折り直すときれいに仕上がります。

弔事(左前)と間違えないよう右側が手前に来る形を作る

三つ折りで間違えやすいのが、折る順番です。慶事では「左→右」、つまり右側が最後に上に来る形が正解。逆に「右→左」で折ってしまうと、左側が上に被さる「左前」になります。

左前は、弔事や亡くなった方の着物の合わせ方です。お年玉のようなお祝い事で左前にしてしまうと、縁起が悪いとされます。うっかり逆に折ってしまわないよう、「左から折り始める」と覚えておくと安心でしょう。

完成したお札をポチ袋に入れるときも、向きに注意が必要です。ポチ袋の表面を自分に向けた状態で、三つ折りにしたお札の「右側が被さっている面」が手前を向くように入れます。さらに、お札の天地が逆さまにならないよう、肖像画の頭が上を向く向きで入れましょう。

受け取った人がポチ袋からお札を取り出し、そのまま広げたときに、表面が上を向き、肖像画が正位置で見える——。この状態が理想です。ほんの少しの気配りですが、「あなたのために準備しました」という想いが伝わります。

【新札対応】渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎をきれいに折る目印

2024年7月3日から流通が始まった新紙幣。肖像画の位置やデザインが大きく変わり、「三等分の目印がわからない」という声も聞かれます。

旧紙幣では、福沢諭吉の耳や樋口一葉の名前などが折り位置の目安でした。新紙幣でも、肖像画の特定のパーツを目印にすれば、定規を使わなくてもきれいな三つ折りが可能です。

新紙幣の大きな特徴は、世界初となる3Dホログラムです。一万円札と五千円札には縦長のストライプ型ホログラムが、千円札には四角形のホログラムが配置されています。折る際にホログラム部分を強く折り曲げると傷がつく可能性があるため、丁寧に扱いましょう。

ここからは、券種ごとの具体的な目印を紹介します。

新一万円札は3Dホログラムと肖像画の肩の間を目安にする

新一万円札のサイズは横160mm×縦76mm。三等分すると約53mmずつになります。渋沢栄一の肖像画は、お札の右寄りに配置されています。

左側を折るときの目印は、渋沢栄一の肖像画の耳と頬の中間あたりです。顔の左側の輪郭あたりで折ることがポイントです。

新一万円札の渋沢栄一は、「日本資本主義の父」と呼ばれる実業家。裏面には東京駅丸の内駅舎がデザインされています。約500もの企業設立に関わったとされる渋沢栄一を三つ折りにするときは、その功績に思いを馳せながら丁寧に折ってみてはいかがでしょうか。

なお、一万円以上をポチ袋に入れる場合は、折らずに入れられる祝儀袋タイプを選ぶのも一つの方法です。ポチ袋には「これっぽちですが」という謙遜の意味もあるため、高額の場合は封筒タイプがより丁寧とされています。

新五千円札は津田梅子の顔の輪郭付近に合わせてバランスを取る

新五千円札のサイズは横156mm×縦76mm。一万円札より4mm短く、三等分すると約52mmになります。

津田梅子の肖像画は、お札の右寄りに描かれています。左側を折るときは、津田梅子の顔の左側の輪郭、具体的には左目尻の先端や左眉尻のあたりを目安にするとバランスが取れます。

新五千円札には、いくつか特徴的な変更点があります。まず、すき入れ(透かし)の位置が、従来の中央から表面の左側へ移動しました。これは、他の券種との識別をしやすくするためのユニバーサルデザインです。また、3Dホログラムは一万円札よりもやや中央寄りに配置されています。

津田梅子は、6歳で日本最初の女子留学生としてアメリカへ渡り、帰国後に女子英学塾(現・津田塾大学)を創設した教育家です。裏面には古事記や万葉集にも登場する藤の花がデザインされており、日本の伝統美を感じさせます。

ちなみに、津田梅子の肖像は、元となった写真と左右の向きが逆になったと言われています。これは、お札の肖像画は内側を向くのが慣例であるため、それに合わせて調整されたとされています。

新千円札は北里柴三郎の余白と額面数字の位置関係を確認する

新千円札のサイズは横150mm×縦76mm。三券種の中で最も横幅が短く、三等分すると50mmになります。

北里柴三郎の肖像画は、やはりお札の右寄りに配置されています。左側を折るときの目印は、北里柴三郎の頬あたりの輪郭です。顔の左側、頬のラインに左端を合わせるように折ると、きれいな三等分になります。

新千円札の大きな特徴は、従来はなかったホログラムが新たに追加されたことです。表面の左下に幅24mmの四角形のホログラムが貼られています。一万円札や五千円札のストライプ型とは形状が異なるため、触ったときの感触でも券種を識別できます。

裏面には、葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」から「神奈川沖浪裏」がデザインされています。世界的にも有名なこの浮世絵が、日本のお札を彩っています。

北里柴三郎は、「近代日本医学の父」と呼ばれる細菌学者。世界で初めて破傷風菌の純粋培養に成功し、血清療法を確立しました。感染症と闘い続けた北里柴三郎のお札で、お年玉を受け取る子どもたちの健やかな成長を願う——そんな想いを込めて折ってみるのも良いかもしれません。

ポチ袋へ入れる際の上下裏表と透け防止

三つ折りにしたお札をポチ袋に入れるとき、向きや配置を間違えていませんか?

せっかく丁寧に折ったお札も、入れ方が雑では台無しになってしまいます。ポチ袋の「正面」と「天地」を意識するだけで、受け取った相手がお札を開いたときの見栄えがまったく違ってきます。

また、2024年7月に発行された新紙幣は、金額を示す数字が従来より大きくデザインされました。薄い素材のポチ袋だと、中のお札が透けて金額がわかってしまうことも。最終確認のポイントを押さえて、スマートなお年玉を渡しましょう。

折った紙幣の表面がポチ袋の「正面」に向くように入れる

三つ折りにしたお札をポチ袋に入れるときは、折り重なった「右側が上」になっている面を、ポチ袋の正面(表)側に向けて入れます。

正しい三つ折りの手順では、左→右の順番でお札を内側に折り込んでいきます。この折り方をすると、最後に右側が一番上にかぶさった状態になるはずです。この右側がかぶさった面を、ポチ袋の正面に合わせて入れるのがマナーとされています。

なぜこの向きなのでしょうか。日本の「包む文化」では、右利きの人が開けやすいように配慮するのが基本です。左→右の順で折ったお札は、受け取った相手が右→左の順で自然に開けられます。

袋から取り出して広げたとき、すぐに肖像画が見える表面が現れる。このちょっとした心配りが、お年玉を受け取る側の印象を良くするのです。

新紙幣の場合、千円札なら葛飾北斎の「富嶽三十六景」、五千円札なら「藤の花」が描かれた裏面がポチ袋の正面側に見えることになります。

肖像画の頭が下に行かないよう天地の向きを正しく揃える

お札を入れるときにもう一つ気をつけたいのが、天地(上下)の向きです。

三つ折りにしたお札をそのままポチ袋に入れると、お札の上側がポチ袋の上側(口の方)に来ます。この状態を保ったまま入れるのが正解。逆さまに入れてしまうと、相手がお札を取り出して開いたとき、肖像画の頭が下を向いてしまいます。

縁起を担ぐ意味でも、人物の顔が逆さまになるのは避けたいところ。確認方法は簡単です。三つ折りにしたお札を手に持ち、そのまま向きを変えずにポチ袋へスライドさせる。たったこれだけで天地が逆になることはありません。

なお、ポチ袋に入れる前の段階で、お札の上下を確認する習慣をつけておくと安心です。新紙幣では、一万円札が渋沢栄一、五千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎の肖像画が描かれています。肖像画の頭の位置を目印にすれば、天地を間違える心配はありません。

新デザインの大きな金額数字が袋から透けていないか確認する

2024年7月3日から発行が始まった新紙幣には、金額を示す洋数字(アラビア数字)が従来より大きくデザインされています。これは視覚に障害のある方や外国人にも識別しやすいよう、「ユニバーサルデザイン」の考え方を取り入れた変更です。

政府広報オンラインによると、新紙幣では誰もが使いやすいように数字表記を大きくするなどの工夫が施されました。ただし、お年玉を渡す側としては少し気になる点があります。ポチ袋の素材によっては、この大きな数字が袋の外から透けて見えてしまうことがあるのです。

透け防止のチェックは、明るい場所でポチ袋を光にかざして行います。裏面から見たときに「10000」「5000」「1000」といった数字がうっすら見えるようなら、要注意。金額が丸わかりになってしまうのは、贈る側としてもちょっと気まずいものです。

対策としては、和紙や厚手の素材を使ったポチ袋を選ぶか、懐紙やきれいな白い紙を一枚挟んで入れる方法があります。年末にポチ袋を購入するときは、透け具合も確認してから選ぶとよいでしょう。

お年玉の準備で気をつけたい新券の使用や複数枚の扱い

お年玉を渡す準備は整っていますか?

ポチ袋やお札の折り方だけでなく、お札そのものの状態にも気を配りたいところ。折り目やシワのない新札を用意すること、複数枚を入れるときの重ね方など、知っておくと役立つポイントがいくつかあります。

年末の銀行窓口は混雑しやすいため、余裕を持って準備を進めておくのがおすすめ。ここでは、お年玉を気持ちよく渡すための事前準備について解説します。

折り目のついていないピン札(新券)を用意するのが礼儀

お年玉には、新札(ピン札)を使うのがマナーとされています。

新札とは、日本銀行から発行されてから一度も使われていない紙幣のこと。シワも折り目もなく、パリッとした状態のお札です。結婚式のご祝儀や出産祝いなど、お祝いごとには新札を使うのが日本の慣習。お年玉も新年を迎えるお祝いですから、同じように新札で渡すのが礼儀とされています。

わざわざ銀行で新札に両替するという手間をかけることで、相手を想う気持ちを伝えるという意味合いが含まれています。

新札を入手する方法として、銀行の窓口で両替してもらうのが確実です。両替用紙に記入して、新札を希望することを伝えれば対応してもらえます。銀行によっては両替機が設置されており、キャッシュカードがあれば窓口に並ばずに新札を手に入れることもできます。

どうしても新札を用意できなかった場合は、できるだけシワや折れ目の少ないきれいなお札を選び、「新札を用意できず申し訳ありません」と一言添えて渡すとよいでしょう。

金額が異なる場合はサイズが大きい紙幣を一番下に重ねる

お年玉の金額によっては、千円札と一万円札など異なる種類のお札を組み合わせることがあります。このとき、お札を重ねる順番に気をつけてください。

実は、日本の紙幣は金額が大きいほど横幅が長くなっています。一万円札が最も大きく、次いで五千円札、千円札という順番です。そのため、異なる金額のお札を重ねて三つ折りにするときは、金額の大きい(サイズの大きい)紙幣を一番下にして重ねると、きれいに折ることができます

たとえば、11,000円を渡す場合。一万円札を下にして、その上に千円札を重ねてから三つ折りにします。小さいお札が外側にはみ出すことなく、きちんと収まるはずです。

反対に、千円札を下にして一万円札を上に重ねてしまうと、折ったときに端がずれて不格好になってしまいます。ちょっとしたことですが、こうした細かい配慮が「丁寧な人だな」という印象につながるもの。覚えておいて損はありません。

肖像画の位置を揃えてからまとめて折りズレを防ぐ

複数枚のお札をポチ袋に入れるときは、一枚ずつバラバラに折るのではなく、重ねた状態でまとめて三つ折りにするのが基本です。

このとき大切なのが、お札の向きを揃えること。肖像画が描かれている表面を上にして、すべてのお札の上下と表裏を一致させてから重ねます。向きがばらばらのまま折ってしまうと、相手がお札を開いたときに見た目が悪く、数える手間もかかってしまいます。

お札の枚数が3枚以上になると、重ねたまま折るのが難しくなることがあります。そんなときは、次の方法を試してみてください。

  1. 1枚ずつ軽く三つ折りの折り目をつける
  2. 折り目をつけたお札を広げて重ねる
  3. 折り目に沿って、まとめて三つ折りにする

この手順なら、枚数が多くてもずれにくく、きれいに折ることができます。

複数枚で厚みが出ても、無理にきつく折る必要はありません。ゆるやかに折って、福がたくさん詰まった雰囲気を演出するのも一つの方法です。

硬貨の裏表やポチ袋のサイズが合わない場合の対処法

幼い子どもにお年玉を渡すときや、デザイン重視の小さなポチ袋を使いたいとき、困ることがありませんか?

硬貨にも実は表と裏があり、入れる向きにマナーがあります。また、極小サイズの豆ポチ袋では三つ折りが入らないケースも。さらには、ポチ袋自体を持っていないという緊急事態もあり得ます。

そんな「困った」を解決する対処法を知っておけば、どんな状況でもスマートにお年玉を渡せるはず。イレギュラーなケースへの備えを確認しておきましょう。

500円玉などを入れる際は製造年が刻印された面を後ろに向ける

幼い子どもへのお年玉では、紙幣ではなく硬貨を入れることもあります。500円玉や100円玉をポチ袋に入れるとき、向きを意識したことはありますか?

実は硬貨にも表と裏の区別があり、ポチ袋に入れる際は表面をポチ袋の正面に向けるのがマナーです。

硬貨の裏表は、造幣局が作業上の便宜から定めたもの。製造年が刻印されている面が「裏」とされています。つまり、500円玉であれば「500」の数字と製造年が刻印されている面が裏、桐の花葉と「五百円」「日本国」の文字が刻まれている面が表になります。

100円玉なら桜の絵柄、50円玉なら菊の絵柄、10円玉なら平等院鳳凰堂が描かれている面が表です。5円玉だけは少し特殊で、稲穂と「五円」の漢数字が書かれている面が表となります。

硬貨を複数枚入れる場合も、すべての向きを揃えてポチ袋に入れましょう。ちなみに、硬貨は紙幣のように銀行で新しいものに両替することが難しいため、日頃からきれいな硬貨を見つけたらとっておくと、いざというときに役立ちます。

極小サイズの豆ポチ袋などは例外的に4つ折りも許容される

お年玉を渡すときの基本は、お札を三つ折りにすること。四つ折りは「四」が「死」を連想させるため避けるべきとされています。

ただし、例外もあります。最近は、デザイン性を重視した極小サイズの「豆ポチ袋」や細身のポチ袋も販売されています。こうした袋では三つ折りにしたお札が物理的に入らないこともあるのです。

ポチ袋には三つ折りで入れるタイプが主流ですが、袋自体が細身で四つ折りにして入れるタイプや、さらに小さく畳んで入れるタイプもあります。三つ折りが基本ではあるものの、デザイン性を重視しても構わないとされています。

つまり、袋のサイズに合わせて折り方を変えるのは許容範囲内ということ。ただし、四つ折りを気にする人もいるので、できれば三つ折りで入るサイズのポチ袋を選んでおくのが無難でしょう。どうしても小さな袋を使いたい場合は、相手の親御さんの価値観も考慮して判断してください。

なお、1万円以上の金額を渡す場合は、ポチ袋ではなく祝儀袋を使うのがマナーです。祝儀袋なら紙幣を折らずに入れられます。

袋がない時に懐紙や和紙を使って新紙幣を包むアレンジ

予定外の来客や、思いがけず親戚の子どもに会ったとき、ポチ袋を持っていなくて焦った経験はありませんか?

そんなときでも、現金をそのまま渡すのはマナー違反です。売買以外のお金は、何かに包んで渡すのが日本の「包む文化」の基本とされています。ポチ袋がない場合の代替として使えるものはいくつかあります。

まず、懐紙(かいし)があれば理想的。懐紙は茶道で使われる和紙で、お金を包むのにぴったりの上品な素材です。懐紙を縦に置き、お札を三つ折りにして包み込むように折れば、即席のポチ袋が完成します。このとき、上側を下側に入れ込むように折るのがお祝いごとの作法。逆にすると不祝儀の包み方になるので注意が必要です。

懐紙がなければ、和柄の折り紙や千代紙でも代用できます。最近は100円ショップでもかわいい和紙風の折り紙が手に入るので、お正月前に何枚か準備しておくとよいでしょう。

それも手元にないときは、コピー用紙や白い紙、包装紙など、できるだけきれいな紙に包んで渡します。本当に何もないときは、最終手段としてティッシュペーパーでも構わないでしょう。

いずれの場合も、「ポチ袋の用意ができず申し訳ありません」と一言お詫びを添えて渡すことが大切です。形にこだわりすぎるより、相手を想う気持ちを言葉で伝えることのほうが大事です。

お年玉に関するよくあるQ&A

年玉を用意する際によく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめ、三つ折りがうまくできないときの対処法や、間違えやすい折り向きの注意点、開いたときの正しい見え方までをわかりやすく解説します。

事前に確認しておくことで、相手に失礼のない、安心して渡せるお年玉の準備ができるでしょう。

三つ折りで均等に折れない時の対処法は?

三つ折りを均等にするには、お札の横幅(約16cm)を3等分した「約5.3cm」を目安に折るか、別のお札をガイドとして使う方法が効果的です。

方法やり方難易度
定規で測る左端から5.3cmの位置に軽く印をつけて折る★☆☆
別のお札をガイドにするもう1枚のお札を横に当てて幅を揃える★★☆
目視で「Z折り」左右の端を中央に向かって同時に寄せ、ズレを調整★★★

三つ折りをする際に左右の幅がバラバラになりやすい場合は、いきなり強く折らず、先に軽く折り目をつけて位置を確認してから整えると失敗しにくくなります。折り目がナナメになるときは、お札の上辺と下辺を指で押さえ、水平を意識しながら折ることが大切です。

また、新札は表面が滑りやすいため、清潔な布やティッシュを軽く当てて摩擦を増やすと、安定して折りやすくなります。

お札を折る向きを間違えるとマナー違反になる?

お札の折る向きを間違えると、弔事(お葬式)の包み方と同じになり、受け取った相手に不快感を与える可能性があります。

場面折り順完成時の状態
慶事(お年玉など)左→右右側が一番手前(上)に来る
弔事(香典など)右→左左側が一番手前(上)に来る

折り向きを間違えると縁起が悪いと受け取られることがあり、特に年配の方ほど気にする傾向があります。「左前」の状態は死装束を連想させ、着物の合わせ方と同じ考え方から慶事では避けるべきとされています。

もし渡す前に間違いに気づいた場合は、そのまま直すのではなく、新しいお札で折り直すのが無難です。

「お年玉は右が上(みぎうえ)」と覚えると間違いにくくなります。右手でポチ袋を開けたとき、スムーズにお札を取り出せる向きとも一致します。

三つ折りしたお札は開いたときどう見える?

正しく三つ折りされたお札は、開いたときに肖像画が正面を向き、顔が上側に来る状態で現れます。

確認項目〇正しい状態×間違っている状態
肖像画の向き正面を向いている裏返しになっている
顔の位置上側にある逆さま(下側)になっている
最初に見える面肖像画がある表面金額だけの裏面

折り終わったお札は手に持ち、まず右側の一番上の折りを開き、次に左側を開いて確認します。このとき、肖像画が正面を向き、頭が上側に来ていれば問題ありません。

開いたときに逆さまになる場合は、折る前にお札の裏表を取り違えていたり、折る順番を右から左にしてしまったり、ポチ袋に入れる際に上下を逆にしていることが原因として考えられます。

渡す前に必ず一度開いて確認することで、こうしたマナー違反を防ぐことができます。

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