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元本保証で増える商品はある?元本割れがない資産運用をわかりやすく解説

元本割れの心配を抑えながらお金をふやしたいという思いを持つ方は多いものです。そのような目的で利用されることがある金融商品として、定期預金、個人向け国債、貯蓄型保険などが挙げられます。これらは元本が保証されるしくみが用意されているものの、利率は年0.002〜0.5%程度と大きくはなく、物価の動きによって実質的な資産が目減りする可能性がある点にも注意が必要です。

大切なのは、利率・預ける期間・換金しやすさなどを冷静に比べて、自分の目的に合う商品を検討することです。特徴を理解せずに選ぶと、思ったように使えなかったり、必要なタイミングで引き出せなかったりする場合があるため、基本的なポイントを押さえることで判断しやすくなります。

本記事では、元本保証のしくみがある代表的な金融商品を幅広く紹介し、それぞれどのような特徴があるのか、どの程度の利息が期待できるのか、また利用する際に知っておきたい注意点をまとめました。特定の商品を推奨するのではなく、考える際の手がかりとなる情報を整理しています。

目次

元本保証とは?仕組みと定義をわかりやすく解説

資産運用を考える際、多くの方が重視するのが「預けたお金が減らないかどうか」という点です。元本保証とは、金融商品に預けた資金(元本)が、あらかじめ定められた条件のもとで保全されるしくみを指します。金融庁などの公的機関でも、元本そのものが保護される仕組みとして説明されています。

代表的な例として挙げられるのが銀行預金です。安全性が高いとされる一方で、得られる利息は比較的低水準にとどまる傾向があります。また、金融機関が経営破綻した場合でも、一定の条件下で預金者の資金が守られる制度が整えられています。

なお、「元本保証」と似た言葉に「元本確保型」がありますが、こちらは満期まで保有することを前提に元本の維持を目指す仕組みを指すことが一般的です。途中解約では元本割れとなる可能性がある点が大きな違いといえます。

どこまでが制度上保護されるのか、どのような条件で元本が守られるのかを理解しておくことは、資産運用の基本です。まずは仕組みや特徴を把握し、自分が安心できる範囲で検討できる環境を整えておくことが大切です。

元本が守られる仕組みと保証の範囲

元本保証の中心となるのが、預金保険制度です。これは、金融機関が破綻した場合に、預金保険機構が預金者の資金を一定の範囲で保護する制度です。保護される金額には上限があり、1つの金融機関につき預金者1人あたり「元本1,000万円と破綻日までの利息」が対象となります。

同一の金融機関に複数の口座を持っている場合は、口座ごとではなく合算して計算される点にも注意が必要です。また、商品によっては満期まで保有することが前提となり、途中解約では元本がそのまま戻らないケースもあります。中途解約時の扱いは商品ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。

さらに、外貨建ての商品など、制度の保護対象外となるものもあります。元本保証といっても、適用される範囲や条件は一律ではないため、制度内容を理解したうえで資産の置き方を検討することが重要です。

元本確保型と元本保証型の違い

「元本保証型」と「元本確保型」は混同されやすい表現ですが、仕組みには明確な違いがあります。元本保証型は、法律に基づき元本が保護される制度を持つ商品を指し、銀行や信用金庫の預金などが代表例です。

一方、元本確保型は、満期まで保有することで元本の維持を目指すよう設計された商品を指すことが一般的です。個人向け国債や一部の保険商品が該当する場合がありますが、元本が法律で保証されているわけではありません。市場環境や金利の変動によっては、結果的に元本が減る可能性もあります。

特に投資信託で「元本確保型」と表示されている場合、満期前の解約や相場の大きな変動によって元本割れが生じることがあります。保有期間の条件や途中解約時の扱いを確認しておくことで、想定外のリスクを避けやすくなります。

預金保険制度で金融機関破綻時も保護される仕組み

預金保険制度は、金融機関の破綻時に預金者の資金を保護し、社会全体の資金決済の混乱を防ぐことを目的とした制度です。預金保険法に基づき、預金保険機構が運営しています。

保護の対象となるのは、普通預金や定期預金などの円建て預金です。加えて、「無利息・要求払い・決済サービスの提供」という条件を満たす決済用預金については、全額が保護される仕組みとなっています。

一方で、外貨預金や譲渡性預金(CD)などは保護の対象外です。これらは金融機関の財務状況に応じて払戻額が決まるため、元本が減る可能性もあります。預金の種類ごとに保護内容が異なることを理解したうえで選択することが、安心につながります。

元本保証で運用できる金融商品の種類と特徴

「資産を増やしたいが、元本割れはできるだけ避けたい」と考える方に向けて、元本保証、または元本確保を目的とした金融商品にはいくつかの選択肢があります。

ただし、安全性を重視した商品であっても、金利水準や資金の動かしやすさ、想定されるリスクは商品ごとに異なります。それぞれの特徴を理解したうえで、自身の目的に合った商品を選ぶことが大切です。

ネット銀行の普通預金は都市銀行より比較的金利が高い傾向にある

ネット銀行の普通預金は、都市銀行と比べて金利がやや高めに設定される傾向があります。いつでも出し入れできる流動性を保ちながら、都市銀行の定期預金に近い利息を得られる場合がある点が特徴です。

また、預金保険制度の対象となり、1つの金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円とその利息までが保護されます。

安全性と使いやすさのバランスを重視しつつ、利息面も意識したい場合の選択肢として活用しやすい商品です。

定期預金は預金保険の対象で元本が保護される

定期預金は、預入期間をあらかじめ決めて資金を預ける金融商品で、一般に期間が長いほど金利が高くなる傾向があります。預金保険制度の対象となり、元本1,000万円とその利息までが保護される点が大きな特徴です。

中途解約した場合は適用金利が下がることがありますが、元本自体は保護されます。当面使う予定のない資金を、安全性を重視しながら計画的に運用したい場合に向いています。

個人向け国債の変動10年は金利上昇にも対応しやすい仕組み

個人向け国債は、日本国が元本と利子の支払いを行う金融商品で、高い信用力を持つ点が特徴です。変動10年タイプは、半年ごとに金利が見直され、市場金利の変化を反映しやすい仕組みとなっています。

発行から1年経過すれば中途換金も可能です。預金保険の対象ではありませんが、国が発行する債券であるため、信用力の高さを重視する方に選ばれています。

金利動向を意識しながら、安全性を重視した運用を行いたい場合に検討しやすい商品です。

社債は発行企業の信用力で安全性が異なる

社債は企業が発行する債券であり、利回りや安全性は発行企業の信用力によって変わります。一般的に、信用力の高い企業が発行する社債は安全性が比較的高いとされ、利回りはやや低めに設定されることが多いです。

一方で、信用力の低い企業の社債は利回りが高めに設定される傾向がありますが、リスクも相応に高くなる点に注意が必要です。

社債を評価する際には、格付け機関の評価を参考にすることが重要です。格付けはAAA(トリプルA)が最も信用力が高く、AA、A、BBBと続きます。一般にBBB以上の社債は投資適格債、BB以下は投機的格付債と呼ばれています。

銀行や大手企業が発行する社債は比較的安定性が高く、国債に比べて利回りがやや高めに設定される場合もあります。社債を選ぶ際には、格付けと自身のリスク許容度を考慮して判断することが大切です。

地方債は自治体が発行する比較的リスクの低い公共債

地方債は、都道府県や市町村が発行する公共債で、国債に次ぐ信用力を持つとされる商品です。国からの交付金で財源が補われる仕組みがあるため、比較的安定性が高いとされています。

ただし、自治体ごとに財政状況は異なり、それが金利水準にも反映されます。安全性を重視しつつ、地域への関わりも意識したい方にとっては選択肢となる商品です。

貯蓄型保険は満期時の受取額が決まっている商品

貯蓄型保険は、一定期間後や満期時に保険金や解約返戻金を受け取れる保険商品で、保障と貯蓄の両面を備えています。商品によっては返戻率が100%を超える設計となる場合もあります。

一方で、契約初期は解約返戻金が少なく、早期解約では元本割れとなるケースが一般的です。長期で継続することを前提に、保障と資金準備を同時に行いたい方に向いた商品といえます。

iDeCoの元本確保型商品で老後資金を積み立てる

iDeCo(個人型確定拠出年金)では、定期預金や保険商品など、元本確保型とされる運用商品を選ぶことができます。掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税となる点が大きな特徴です。

価格変動のある商品と比べ、元本割れが起こりにくいため、安定性を重視した老後資金づくりに適しています。

ただし、原則60歳まで引き出せないため、資金拘束の点を理解したうえで利用することが重要です。

デパート積立・旅行積立でお得に利用できる仕組み

デパート積立や旅行積立は、毎月一定額を積み立て、満期時にボーナスが付いた買い物券や旅行券を受け取れるサービスです。積立額に上乗せされる分があるため、実質的な利回りが高く見えることがあります。

ただし、利用先が特定の百貨店や旅行会社に限定される点には注意が必要です。使い道が明確な場合にはメリットを活かしやすい一方、予定が定まらない場合は使い切れない可能性もあります。

金銭信託は信託銀行が運用する低リスク商品

金銭信託は、信託銀行が預かった資金を運用する仕組みの商品です。元本補てん契約付きの商品は、条件を満たす場合に預金保険制度の対象となり、一定額まで保護されるものがあります。

一方、実績配当型の金銭信託には元本補てんがなく、運用結果によって元本割れとなる可能性があります。補てんの有無や商品ごとの仕組みを確認したうえで、安定性を重視するかどうかを判断することが大切です。

元本保証商品の金利と増え方を比較

元本保証の商品を検討する際、「どの商品の増え方が分かりやすいのか」「金利の違いをどう見ればよいのか」と迷う方は少なくありません。

元本保証といっても仕組みはさまざまで、金利の表示方法や計算の考え方も商品ごとに異なります。数値だけを比較すると、想定していた増え方と実際の受取額に差を感じることもあります。

定期預金や国債、債券、保険商品は、それぞれ利息のつき方や受け取り方が異なり、税金や手数料の影響で実際の手取り額が変わる点も共通の注意点です。

ここでは、代表的な元本保証(または元本確保型)商品の金利水準と、受け取れる金額のイメージを整理します。仕組みを理解することで、自分の目的に合った商品を選びやすくなります。

定期預金の金利は金融機関によって違いが大きい

定期預金の金利は金融機関によって幅があります。メガバンクが提供する1年もの定期預金では、2025年11月時点で年0.275%前後とされており、100万円を1年間預けた場合の利息は税引前で約2,750円となります。マイナス金利政策下で年0.002%程度だった時期と比べると、金利環境は変化してきていることが分かります。

一方、ネット銀行では比較的高い金利が設定されることがあり、年0.2%〜1.0%程度の商品や、期間限定のキャンペーンが実施される場合もあります。たとえば年1.2%の定期預金であれば、100万円を1年間預けた際の利息は約1万2,000円となり、金利差による受取額の違いが明確になります。ただし、キャンペーンには適用条件や期間があるため、事前確認が欠かせません。

また、3年・5年などの長期定期では、1年定期より金利が高く設定されることがありますが、金利上昇局面では資金を長期間固定することで、より高い金利の商品を選びにくくなる点にも注意が必要です。

個人向け国債は年0.05%の最低金利保証がある

個人向け国債は、国が発行する債券で、元本と利子の支払いについて法律で定められている商品です。

変動10年型では、市場金利を基に算出された利率が半年ごとに見直される仕組みとなっており、金利上昇局面にも一定程度対応しやすい特徴があります。2025年6月募集分では、年1.0%の利率が案内されています。

固定金利型には「固定5年」「固定3年」があり、募集時点の市場金利を基にした利率が満期まで適用されます。これらのタイプには共通して「年0.05%の最低金利」が設けられており、市場金利が大きく低下した場合でも利率が一定水準を下回らない点が特徴です。

発行から1年経過後は中途換金が可能ですが、換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれるため、受取額はタイミングによって変わります。最低金利の安心感と、換金時の条件を併せて理解しておくことが大切です。

社債や地方債は年0.1%から1%程度の利回り

社債や地方債は、企業や地方自治体が発行する債券で、購入者は発行体に資金を貸す形になります。

2025年11月時点では、個人向け社債の利率はおおむね年0.8%〜3%台まで幅があり、発行体の信用力や格付けによって差が生じています。信用力の高い大手企業では1〜2%程度、信用リスクが高い発行体では3%前後の利率が提示されることもあります。

利率が高い債券ほど、返済が滞るリスクが相対的に高い傾向があり、これは「リスクとリターンの関係」として整理できます。高い利回りに目が向きやすい一方で、信用格付けや発行体の状況を確認することが欠かせません。

地方債は、都道府県や政令指定都市などが発行する公募債で、国債よりやや高い利回りが設定されることがあります。利率は年0.2%〜0.5%程度の事例が多く、比較的安定性を重視したい場合の選択肢となりますが、投資である以上リスクがゼロではない点は共通です。

貯蓄型保険は返戻率で受取額が決まる

貯蓄型保険では、預金のように金利を直接比較するのではなく、「返戻率」を基準に受取額を判断します。返戻率は、支払った保険料総額に対して、どれだけの金額が戻ってくるかを示す指標です。

返戻率の計算式

受取金額の総額 ÷ 支払保険料の総額 × 100

返戻率が100%を超える場合、支払った保険料を上回る金額を受け取れることになります。ただし、返戻率が高く見えても、長期間にわたる契約では実質的な年利は低くなるケースが多く、数字の見方には注意が必要です。

たとえば、月1万円を30年間払い込み、総額360万円に対して396万円を受け取る場合、返戻率は約110%となりますが、年利換算では0.7%程度となります。

また、貯蓄型保険は長期継続を前提に設計されており、早期解約では元本割れとなるケースが一般的です。予定利率や返戻率は商品や契約条件によって大きく異なるため、最新の資料を確認したうえで比較することが重要です。

元本保証商品を始める手順と購入できる場所

元本保証商品を検討する際、「どこで購入できるのか」「どのような手続きが必要なのか」が分かりにくいと感じる方も少なくありません。実際には、商品ごとに購入先や必要な準備が異なります。

たとえば、定期預金や個人向け国債は銀行や郵便局、社債や地方債は証券会社、貯蓄型保険は保険会社や代理店を通じて申し込みます。最低申込額や条件も商品ごとに異なるため、自身の資金計画に合った選択が重要です。

ここでは、元本保証商品を始める際の基本的な手順や、準備しておきたいポイントを商品別に整理していきます。

銀行口座を開設して定期預金や国債を購入する

定期預金や個人向け国債を利用するには、まず銀行口座の開設が必要です。口座開設は、店舗窓口での手続きとオンライン申込みのいずれかを選べます。

店舗で手続きを行う場合は、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を持参します。印鑑が必要かどうかは金融機関によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。

ネット銀行では、パソコンやスマートフォンから申込みができ、書類提出もオンラインまたは郵送で完結します。開設までの期間は数日から1週間程度が目安で、来店の手間を省きたい方に向いています。

個人向け国債を購入する場合は、銀行口座に加えて国債専用口座の設定が必要です。本人確認書類やマイナンバー確認書類を準備し、所定の手続きを行います。

個人向け国債は銀行のほか、郵便局でも取り扱われており、普段利用している金融機関を選ぶと手続きがスムーズです。

証券会社で個人向け国債や社債を取り扱っている

証券会社では、個人向け国債に加え、社債や地方債など幅広い債券商品を購入できます。社債は発行体の条件によって利回りが異なるため、選択肢の一つとして検討されることがあります。

債券を購入するには、証券総合口座の開設が必要です。口座開設時には、本人確認書類とマイナンバー確認書類を提出します。オンライン証券であれば、申込みから購入までをインターネット上で完結できます。

社債の最低購入金額は、個人向けの場合100万円程度が一般的ですが、銘柄によってはそれ以下で購入できるケースもあります。募集方式の商品は早期に完売することもあるため、複数の証券会社に口座を持っておくと購入機会を確保しやすくなります。

保険会社や代理店で貯蓄型保険に加入する

貯蓄型保険は、保険会社の営業担当者や保険代理店を通じて申し込むのが一般的です。銀行窓口で取り扱われている商品もあり、身近な金融機関で相談できる場合もあります。

保険会社の担当者から申し込む場合は、対面で説明を受けながら進められる点が特徴です。保険代理店では複数社の商品を比較できるため、条件や返戻率を見比べながら検討できます。

加入時には、健康状態に関する告知が必要となり、内容によっては引受条件が付く場合や、加入できないケースもあります。保険料の支払い方法は月払い・年払いなどから選べるため、家計への影響を考慮し、無理なく継続できる形を選ぶことが大切です。

最低投資額は1万円から始められる商品が多い

元本保証商品は、比較的少額から始められる点も特徴のひとつです。個人向け国債は1万円から1万円単位で購入でき、定期的に買い付けることで積立のように利用することも可能です。

定期預金の最低預入金額は金融機関によって異なりますが、ネット銀行を中心に少額から預け入れできるケースが多く見られます。

一方、社債や地方債は最低購入単位が大きく、100万円程度から募集されることが一般的です。貯蓄型保険については、月数千円から加入できる商品もあれば、保障内容によっては月数万円となる場合もあります。

まずは少額で始め、資産状況や目的に応じて商品や金額を広げていく方法も一つの考え方です。複数の商品を組み合わせることで、元本を守りながら運用の選択肢を増やすことができます。

元本保証の資産運用で得られるメリット

資産運用に関心があっても、「元本が減るリスクが不安」と感じる方は少なくありません。

元本保証の商品は、価格変動による損失リスクを抑えながら資金を管理したい方にとって、比較的取り入れやすい選択肢です。値動きを頻繁に気にする必要がなく、資金計画を立てやすい点も特徴といえるでしょう。

ここでは、元本保証型の商品を利用することで得られる主なメリットを整理して解説します。

投資した資金が減りにくいという安心感が得られる

元本保証型の商品は、市場の値動きによって預けた資金が直接減少しにくい点が大きな特徴です。株価や為替の変動に左右されることを避けたい場合でも、比較的安定した状態で資金を保有できます。

また、預金保険制度の対象となる預金であれば、一定額まで資金保護の仕組みが設けられており、安全性を重視したい資金の置き場としても検討しやすいでしょう。

近い将来に使う予定のある資金や、急な支出に備える資金の管理にも向いています。

値動きを気にせず管理できるため精神的な負担が少ない

元本保証型の商品は、日々の相場変動によって評価額が上下することが基本的にありません。そのため、価格チェックや売買の判断に追われることなく、落ち着いて資金を管理できます。

相場急変によるストレスを感じにくく、投資に多くの時間を割けない方や、仕事・家事などを優先したい方にも取り組みやすい点が特徴です。精神的な負担を抑えながら運用を続けられる点は、大きなメリットといえるでしょう。

投資に関する専門知識がなくても始めやすい

元本保証型の商品は、複雑な分析や高度な投資判断を必要としない点が特徴です。金利・預入期間・その他の条件を比較するだけで、自分の目的に合った商品を選びやすいため、投資初心者でも取り組みやすい仕組みといえます。

株式投資のように銘柄選択や売買タイミングを見極める必要がなく、専門的な判断を求められない点も安心材料です。多くの金融機関では窓口やオンラインサービスから簡単に申し込めるため、手続きにかかる負担も大きくありません。

資産運用の経験が少ない場合でも、まずは少額から始めることで資金管理に慣れるきっかけになります。運用に時間を割きづらい方や、将来的に投資へステップアップしたいと考える方にとって、手軽さと安心感を両立できる選択肢として利用されています。

短期から中期の資金計画に組み込みやすい

元本保証型の商品は、資金を減らしたくない期間が明確な場合に活用しやすい点が特徴です。数ヶ月後に必要となる生活費や、1〜3年以内の支出(引っ越し、教育費、設備投資など)がある場合でも、価格変動の影響を受けにくいため、計画的に資金を管理できます。

短期から中期まで柔軟に選べる商品も多く、比較的短い期間でも預けられるため、資金が長期間拘束されることを避けたい方にも向いています。金利水準は商品によって異なりますが、元本を確実に保ちながら管理できるため、用途が決まっている資金の置き場所として利用しやすい点がメリットです。

将来の支払いに備えて必要資金を確保したい場合、予測しやすく安定した仕組みは大きな安心材料となるでしょう。

資金管理の基礎を身につける練習として有効

元本保証型の商品は、資産運用の仕組みを実体験として学ぶ入口にもなります。入出金の流れや金利の違い、預ける期間による利息の変化などを通じて、資金運用の仕組みを実体験として学べる点が大きなメリットです。

投資経験がない場合でも、元本が減少する大きなリスクを抑えながら運用に触れられるため、将来的に株式や投資信託などの金融商品を検討する際の判断材料を得やすくなります。また、資金を目的別に分けて管理するといった「資産配分(アセットアロケーション)」の基本にも自然と触れられ、家計全体の見直しや改善にもつながります。

資産形成の一歩目として取り組みやすく、安心感を保ちながら運用の理解を深められる点が、多くの初心者に選ばれている理由といえるでしょう。

家計全体のリスクバランスを整えやすい

元本保証型の商品は、家計における安定資産として位置づけやすい点もメリットです。値動きのある資産と組み合わせることで、資産全体の変動を抑える役割を果たします。

生活防衛資金など確実に確保したい資金と、将来の成長を期待する資金を分けて管理する際にも適しており、無理のないリスク管理につながります。家計全体の安定性を意識した資産配分を考えるうえで、有効な選択肢といえるでしょう。

元本保証商品のデメリットと見落としがちなリスク

元本保証商品は安全性の高さが魅力ですが、その一方で見落とされがちなデメリットも存在します。特に、現在の低金利環境では得られる利息が限定的であり、十分な収益を期待しにくい点が挙げられます。また、物価が上昇した場合には、名目上の元本が守られていても、実質的な購買力が低下する可能性がある点にも注意が必要です。

さらに、満期前に資金が必要となった場合、商品によっては中途解約に制限があったり、予定していた利息を受け取れなかったりするケースもあります。貯蓄型保険など一部の商品では、解約返戻金が元本を下回る場合もあるため、事前に条件を確認することが重要です。

「安全だから大丈夫」と思い込まず、収益性や流動性、インフレの影響といったリスクを総合的に理解したうえで選ぶことが大切です。特徴と注意点を把握することで、自分の目的に合った適切な資産運用がしやすくなるでしょう。

低金利の影響で収益性が限定的になる

現在の日本では、低金利の状況が長く続いており、元本保証型の商品だけで大きな収益を期待することは難しい状況です。

2025年12月時点では、定期預金の金利は年0.25%程度、普通預金では0.2%程度の水準となっています。この金利で100万円を1年間預けた場合、受け取れる利息は約2,500円程度です。

利息には20.315%の税金(利子所得に対する税率)が課されるため、手取りでは約2,000円ほどになります。振込手数料やATM手数料を数回利用すると、利息分が相殺されてしまうケースもあるでしょう。

このように、元本保証型の商品は「資産を大きく増やす」目的には向きにくい面があります。そのため、長期的な資産形成を考える場合には、元本保証以外の運用方法も併せて検討し、目的に合ったバランスを取ることが重要です。

物価上昇で資産の実質的な価値が目減りする

元本保証型の商品では、預けた元本と利息が守られるため「目に見える減少リスク」は抑えられます。しかし一方で、物価が上がると、預けたお金で買えるものの量(購買力)は減ってしまう可能性があります。これは「実質的な資産価値の目減り」と呼ばれるリスクです。

近年の日本では、消費者物価指数(CPI)が上昇傾向にあり、物価上昇の影響が続いています。たとえば、ある時点では前年比で2~3%前後の上昇が報告されており、これは物価全体の平均的な値上がりを示しています。 

たとえば、年2%の物価上昇が続くと仮定し、一方で預金の金利が年0.2%だった場合、利息分だけでは物価上昇のペースに追いつかず、実質的な価値は目減りする可能性があります。単純計算では、100万円の預金が1年後にそのまま100万円であっても、同じ買い物ができるとは限らない、という事態が起こり得るのです。

このように、元本保証は「元本の名目価値を守る」しくみであり、「インフレに対する価値維持」を保証するものではありません。将来にわたって購買力を守りたい場合には、物価上昇による影響を考慮し、他の運用手段との組み合わせや資産の分散も検討することが重要です。

途中解約すると手数料で元本を下回る場合がある

元本保証型の商品であっても、満期前に解約すると当初の条件が適用されず、受取額が減少する可能性があります。商品によっては、途中解約によって元本を下回るケースもあるため、契約時に確認しておくことが重要です。

定期預金では、中途解約した場合に約定利率ではなく、中途解約利率が適用されます。一般的に、当初の利率より大幅に低く設定されており、普通預金と同程度の金利になることもあります。

貯蓄型保険では、途中解約による影響がより大きくなる傾向があります。保険料払込期間中に解約すると、解約返戻金が払込保険料総額を下回ることが多く、特に契約初期(5〜10年以内)の解約では、解約控除の影響により返戻金が少なくなるケースが一般的です。

個人向け国債は、発行から1年を経過すると中途換金が可能ですが、この際には「直前2回分の利子相当額×0.79685」が差し引かれるため、受取額が想定より減る場合があります。

このように、途中解約に伴う条件やペナルティは商品によって異なります。必要となる資金の時期が明確な場合は、契約前に中途解約の扱いを必ず確認しておくことが大切です。

長期間資金が拘束されて流動性が低い

元本保証商品の大きなデメリットとして、「資金の流動性の低さ」が挙げられます。定期預金や国債、貯蓄型保険などは、一定期間資金が拘束されるため、急な資金需要に対応しにくいという特徴があります。

予期せぬ医療費の発生、家電の突然の故障、冠婚葬祭など、まとまった支出が必要になる場面は誰にでも起こりえます。しかし、元本保証商品の比率が高すぎると、これらの費用が必要なタイミングで資金を引き出せず、やむを得ず中途解約を行う必要が出てくる可能性があります。特に貯蓄型保険は早期解約による元本割れのリスクが大きく、資金繰りに影響する恐れがあります。

このリスクを軽減するには、いつでも引き出せる普通預金に、生活防衛資金(一般的には手取り月収の6ヶ月〜1年分程度)を確保しておくことが重要です。元本保証商品の活用は、当面使う予定のない余裕資金に限定し、流動性の高い商品とバランスよく組み合わせることが求められます。

資産全体の流動性を考慮した配分こそが、安全かつ柔軟な資産管理の基本と言えるでしょう。

金利上昇や経済環境の変化に対応できる商品を選ぼう

固定金利の商品だけに偏っていると、金利が上昇した際に、新たな高金利のメリットを取り込めない可能性があります。経済環境は常に変化しており、特に現在は日本銀行の金融政策の見直しも指摘されるなど、金利が上昇しやすい局面だと考えられています。

このような状況では、変動金利型の商品や短期で満期を迎える商品を活用することで、環境変化に応じて柔軟に見直しがしやすくなります。市場の動向に合わせて商品構成を調整しやすいため、金利上昇の恩恵を取り込む余地を残すことができるでしょう。

資産を一つのタイプの商品に固定せず、経済環境の変化に応じて見直せる仕組みを整えておくことが大切です。金利が上向いている局面では、変動金利型や短期の満期商品を組み合わせることで、運用の選択肢を広げることができます。

変動金利型の個人向け国債は半年ごとに金利が見直される

個人向け国債・変動10年型は、市場金利の動向に応じて半年ごとに適用利率が見直される仕組みです。利率は「基準金利×0.66」で決まり、市場金利が上昇すれば、受け取る利子が増える可能性があります

また、金利が低下した場合でも 年0.05%の最低金利保証 が設けられているため、利率がゼロになるような極端な状況にはなりにくく、変動金利型の中では比較的リスクが抑えられた設計といえます。

近年は金融環境の変化に伴って、変動10年型の利率が引き上げられた時期もあり、市場金利の変動に対応しやすい商品として注目される場面が増えています。金利の影響を柔軟に取り込みたい場合、変動金利型の国債を選択肢として検討する価値があるでしょう。

さらに、個人向け国債は国が元本と利子の支払いを行う仕組みであるため、安全性を重視する人にとっても使いやすい商品といえます。

満期が短い定期預金なら金利上昇時に乗り換えやすい

金利が上昇している局面では、1ヶ月〜6ヶ月程度の短期定期預金を選ぶ方法が選択肢の一つになります。長期間の定期預金に預けると、途中で金利が上昇しても、契約時点の金利が満期まで適用されるため、新しい金利水準を活用しづらくなります。

これに対して短期の定期預金であれば、満期ごとに金利水準を確認し、より条件の良い商品へ預け替えることが可能です。一般的に短期の定期預金は長期商品より金利が低めに設定される傾向がありますが、金利変動が大きい時期には、柔軟に見直せる点がメリットとなります。

また、数ヶ月単位で満期を迎えるように設定しておけば、定期的に各金融機関の金利を比較し、その時点で条件の良い商品を選ぶことができます。金利動向や経済状況を踏まえながら、預入期間を調整していくことで、より納得感のある資産管理がしやすくなるでしょう。

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