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一生独身を覚悟したら貯金はいくら必要?老後資金の備え方

一生独身で暮らすなら老後にどれだけの貯金が必要なのかを考えた場合、家族がいないため病気や介護のリスクをすべて自分で背負わなければなりません。

総務省「家計調査報告」2024年によると、65歳以上の単身無職世帯では毎月約2.8万円の赤字が生じています。30年間で計算すると約1,000万円の不足。さらに介護費用や住居の修繕、葬儀費用なども見込むと、最低でも1,500万円以上、ゆとりある生活を望むなら2,500万円程度の準備が目安となります。

この記事では、独身者が知っておくべき老後資金の考え方、具体的な必要額の算出方法、そして年代別の資産形成の始め方を解説します。

目次

一生独身を覚悟したら知っておきたい老後資金の基本

独身で老後を迎えると決めたとき、最初に向き合うべきは「お金」の問題です。夫婦世帯のように生活費を分け合うことができず、介護や病気のときに頼れる家族もいません。収入は年金が中心となり、支出を自分ひとりで管理し続けなければならないのです。

だからこそ、早い段階で老後の収支を把握し、不足分を計画的に準備することが欠かせません。ここでは、老後資金を考えるうえで押さえておきたい前提条件と、独身者が直面しやすい課題を整理していきます。

老後資金を考える前に押さえるべき前提条件

老後資金を試算する際には、いくつかの前提を明確にしておく必要があります。まず「老後」をいつからいつまでと考えてみましょう。

公的年金の受給開始は原則65歳ですが、厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」によれば、65歳時点の平均余命は男性で約20年、女性で約25年です。つまり、男性なら85歳前後、女性なら90歳前後まで生きる可能性を想定しておくのが現実的といえます。

また、「持ち家か賃貸か」によって老後の住居費は大きく変わります。持ち家で住宅ローンが完済済みであれば月々の住居費は固定資産税や修繕費程度ですが、賃貸なら家賃がずっと続きます。

総務省の2024年の家計調査では、高齢単身無職世帯の平均住居費は月約1.3万円となっていますが、賃貸の場合はこれより高額になることが多いでしょう。

退職金の有無や金額も確認しておきたいところです。会社員であれば一定額の退職金が見込めますが、自営業やフリーランスの場合は退職金制度がないため、その分を自分で積み立てておく必要があります。

公的年金だけでは生活費が不足する理由

「年金だけで暮らせるのか」という疑問は、多くの人が抱えています。結論から言えば、公的年金だけでは生活費を賄いきれないケースがほとんどです。

総務省の2024年の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の平均実収入は月13万4,116円です。このうち社会保障給付(年金など)が12万1,629円と全体の約9割を占めています。

一方、消費支出と非消費支出を合わせた支出合計は月16万1,933円。差し引きすると、毎月約2万8,000円の赤字が生じる計算になります。

この赤字を30年間(65歳から95歳まで)で計算すると、約1,008万円の不足となります。ただし、この数字には介護費用や大きな医療費、住宅の修繕費用などは含まれていません。実際に必要な老後資金は、これよりも多くなる可能性が高いのです。

年金額は、加入していた年金制度や納付期間、平均年収によって大きく異なります。厚生年金に長く加入していた会社員と、国民年金のみの自営業者では、受け取れる年金額に2倍以上の差がつくこともあります。

独身者が資金計画で注意すべきポイント

独身者の老後資金計画には、夫婦世帯とは異なる注意点があります。まず、生活費の「スケールメリット」が効かないことです。夫婦なら水道光熱費や住居費を2人で分担できますが、独身では全額を1人で負担することになります。

次に、介護が必要になったときの問題です。配偶者や子どもがいれば在宅介護の選択肢がありますが、独身の場合は介護サービスや施設への入所が前提となりやすく、費用が高額になる傾向があります。

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度によれば、施設介護の月額費用は平均13.8万円と、在宅介護の平均5.3万円の約2.6倍です。

また、緊急時の対応や手続きの問題もあります。入院の保証人、施設入所時の身元引受人、亡くなった後の手続きなど、通常は家族が担う役割を誰かにお願いしておく必要があります。

民間の身元保証サービスを利用する場合は、その費用も計画に含めておきたいところです。

一生独身で必要な貯金額の目安を数字で把握する

老後資金を準備するうえで、具体的な数字を把握することは計画の第一歩です。「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、あれは高齢夫婦世帯をモデルにした試算であり、独身者にそのまま当てはまるわけではありません。

ここでは、総務省の最新データをもとに、独身者の老後生活にかかる実際の費用と、必要な貯蓄額の目安を確認していきましょう。

65歳以上の単身世帯における毎月の生活費と収支

総務省の2024年の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の1か月あたりの家計収支は以下のようになっています。

収入(実収入):134,116円
社会保障給付(年金など):121,629円(90.7%)
その他収入:12,487円(9.3%)
支出合計:161,933円
消費支出:149,286円※
非消費支出(税・社会保険料):12,647円
差額(不足分):▲27,817円/月
※消費支出の内訳
  • 食料費:約42,090円(28.2%)
  • 住居費:約12,690円(8.5%)
  • 光熱・水道費:約14,480円(9.7%)
  • 家具・家事用品:約6,570円(4.4%)
  • 被服及び履物:約3,430円(2.3%)
  • 保健医療:約8,660円(5.8%)
  • 交通・通信費:約14,930円(10.0%)
  • 教養娯楽費:約15,530円(10.4%)
  • そのほか:約30,910円(20.7%)※うち交際費:約16,460円(11.0%)

住居費には持ち家で住宅ローンを完済した人も含まれているため、賃貸住まいの場合は実際の支出はより高くなります。

生活費に加えて備える介護・住居・葬儀の費用

毎月の生活費とは別に、老後には一時的にまとまった支出が発生することがあります。独身者が特に備えておきたいのは、介護費用、住宅関連費用、そして葬儀・お墓の費用です。

介護費用

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度によると、介護にかかる費用は一時費用(介護用ベッドの購入や住宅改修など)が平均47万円、月々の費用が平均9.0万円です。

介護期間の平均は55か月(4年7か月)であり、総額で約542万円がかかる計算になります。

独身者は在宅介護が難しく施設を利用するケースが多いため、費用はさらに高くなる可能性があります。施設介護の場合、月額費用は平均13.8万円に上ります。

住宅関連費用

持ち家の場合、築年数が経つと修繕やリフォームが必要になります。外壁の塗り替え、屋根の修繕、水回りの交換などを考えると、数百万円単位の出費を想定しておきたいところです。

また、高齢になると段差の解消や手すりの設置などバリアフリー化も検討課題になります。

葬儀・お墓の費用

葬儀費用は規模や形式によって大きく異なりますが、家族や近親者のみで行う家族葬であれば50万〜100万円程度、参列者を広く招く一般葬では150万円以上かかるケースも少なくありません。

お墓についても、墓地の立地や区画の広さ、墓石の種類などによって幅がありますが、一般的なお墓を新たに建立する場合は150万円前後がひとつの目安とされています。

これらを踏まえると、葬儀とお墓を合わせて200万〜300万円程度を想定しておくと、ひとつの備えの基準になるでしょう。

最低ライン・現実的な目安・ゆとりある生活の3パターン

独身者の老後資金を3つのパターンで試算してみましょう。いずれも65歳から30年間(95歳まで)を想定しています。

毎月の不足分2.8万円 × 12か月 × 30年 = 約1,008万円

生活費の赤字補填のみを考えた場合の金額です。ただし、介護費用や突発的な医療費、住居の修繕費などは含まれていません。

独身者の老後資金を算出する方法と考え方

老後資金の目安がわかったところで、次は自分自身に必要な金額を算出してみましょう。平均値はあくまで参考です。住んでいる地域、生活スタイル、健康状態によって必要額は大きく変わります。

ここでは、自分に合った老後資金を計算する手順を解説します。

毎月の生活費から必要総額を逆算する手順

老後資金を計算するには、まず「毎月いくら必要か」を把握することから始めます。

STEP
現在の生活費を把握する

家計簿やクレジットカードの明細などから、現在の1か月の支出を確認します。食費、住居費、水道光熱費、通信費、交際費、趣味・娯楽費などを項目別に整理しましょう。

STEP
老後の生活費を予測する

老後は現役時代と比べて支出が減る項目と増える項目があります。一般的に、教育費や住宅ローンはなくなり、被服費や交際費も減少する傾向があります。一方、医療費は増加しやすく、時間ができることで趣味・娯楽費が増えることもあります。

目安として、現役時代の生活費の7~8割程度が老後の生活費になると考えてよいでしょう。

STEP
老後期間を設定する

65歳から何歳までを想定するかを決めます。厚生労働省のデータでは65歳男性の平均余命は約20年(85歳)、女性は約25年(90歳)ですが、長生きリスクに備えて95歳まで、あるいは100歳までで計算しておくと安心です。

STEP
必要総額を計算する

老後に必要な総額の計算式

(予想される毎月の生活費 × 12か月 × 老後期間の年数)+ 一時費用(介護・住宅修繕・葬儀など)

年金受給額と退職金を踏まえた不足額の調整

老後に必要な総額がわかったら、次は「自分がいくら受け取れるか」を確認します。

日本年金機構が運営する「ねんきんネット」や、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で、将来の年金受給見込額を確認できます。50歳以上の方には、現在の条件で60歳まで加入し続けた場合の見込額が記載されています。

50歳未満の方は、これまでの加入実績に基づいた金額のみが表示されるため、将来の見込額を知りたい場合は「公的年金シミュレーター」を活用するとよいでしょう。

会社員の場合、勤務先の退職金規程を確認し、受け取れる退職金の概算額を把握しておきましょう。退職金制度がない企業に勤めている場合や自営業の場合は、退職金相当額を自分で準備する必要があります。

老後に必要な総額から、年金総額(年間受給額 × 受給年数)と退職金を差し引いた金額が、自分で準備すべき貯蓄額です。

年金以外の収入源と資産の取り崩し計画

老後の収入源は年金だけとは限りません。複数の収入源を組み合わせることで、より安定した老後を送ることができます。

65歳以降も働き続ける選択肢があります。総務省によると、2024年の65歳以上の就業者数は、2004年以降、21年連続で前年を上回って増加しており、930万人と過去最多になっています。

短時間勤務やシルバー人材センターの活用など、体力に合わせた働き方を検討してみましょう。

貯蓄の一部を運用することでも利息や配当収入を得られます。ただし、老後資金は安全性を重視する必要があるため、リスクの高い投資は控えめにすべきです。

老後は「貯める」から「使う」フェーズに移行します。貯蓄をどのようなペースで取り崩していくか、計画を立てておくことが大切です。仮に2,000万円の貯蓄を30年間で取り崩す場合、年間約67万円、月額約5.6万円のペースになります。

取り崩し計画を立てる際は、インフレ(物価上昇)も考慮に入れておきましょう。現在の100万円と30年後の100万円では、実質的な購買力が異なる可能性があります。

年代別に見る貯蓄目標と資産形成の始め方

老後資金の準備は、早く始めるほど有利です。時間を味方につけることで、毎月の積立額を抑えながら目標額に到達できます。

30代・40代・50代それぞれの年代に合わせた貯蓄目標と、税制優遇制度を活用した資産形成の方法を紹介します。

30代・40代・50代で異なる毎月の積立目標額

65歳までに2,000万円を貯めることを目標に、各年代での必要積立額を計算してみましょう。運用利回りを年3%と仮定します。

65歳まで30年間あります。月々の積立額は約3.4万円です。30年という長い時間があるため、比較的負担を抑えながら目標に到達できます。複利の効果を最大限に活かせる年代といえるでしょう。

iDeCoとNISAを活用した節税と運用の基本

老後資金を効率的に準備するには、税制優遇制度を活用することが重要です。代表的な制度として、iDeCo(個人型確定拠出年金)NISA(少額投資非課税制度)があります。

iDeCoは、老後資金の準備を目的とした私的年金制度です。最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されることです。運用益も非課税となり、受け取り時にも退職所得控除や公的年金等控除が適用されます。

掛金の上限は加入者の職業によって異なります。会社員で企業年金がない場合は月2.3万円、自営業者は月6.8万円が上限です。ただし、原則60歳まで引き出せない点は注意が必要です。

NISAは、株式や投資信託などの運用益が非課税となる制度です。2024年から新NISAが始まり、年間投資枠が最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)に拡大しました。非課税保有限度額は1,800万円です。

NISAはいつでも引き出せるため、老後資金以外の目的にも柔軟に活用できます。ただし、iDeCoのような所得控除はありません。

使い分けのポイント

老後資金の準備が主目的なら、所得控除のメリットが大きいiDeCoを優先するのが効果的です。

iDeCoの掛金上限まで拠出した上で、余裕があればNISAを併用するという考え方もあります。

リスクとリターンのバランスを考えた資産配分

資産運用にリスクはつきものです。老後資金はまず「守る」意識が土台になります。物価上昇が続く局面では、預貯金だけでは実質的な価値が目減りします。一定の運用を取り入れる姿勢も欠かせません。

年齢に応じた資産配分の目安

100−年齢=株式の割合

40歳なら株式60%・債券など40%、60歳なら株式40%・債券など60%というイメージです。年齢が上がるにつれて値動きの大きい資産の比率を抑え、債券や預金の比率を高めます。大きく増やすよりも、大きく減らさない設計です。

分散も重要な視点です。国内株式だけに偏らず、海外株式や債券、不動産など複数の資産に広げることで、値動きの波を和らげます。投資信託を活用すれば、少額から広く分散できます。

老後資金づくりの軸は「長期」「積立」「分散」です。短期の上下に振り回されない姿勢が結果を左右します。時間を味方につけ、着実に育てる意識が安心につながります。

生活スタイル別に変わる独身者の貯金計画

老後に必要な資金は、どのような生活を送るかによって大きく変わります。特に住居費、趣味や旅行にかける費用、そして健康状態による医療・介護費用は、人によって差が出やすい項目です。

自分の望む老後生活をイメージしながら、より現実的な資金計画を立てていきましょう。

賃貸と持ち家で異なる住居費の負担と対策

住居費は老後の家計に大きな影響を与えます。賃貸か持ち家かで、必要な貯蓄額は大きく変わってきます。

持ち家の場合

住宅ローンが完済していれば、毎月の住居費は固定資産税(年10万~20万円程度)と修繕費程度に抑えられます。

ただし、老朽化に伴う修繕費用は見落としがちです。屋根や外壁の修繕、設備の交換などで、10~20年ごとに100万~300万円程度の出費を見込んでおくと安心です。

また、高齢になると階段の上り下りが困難になることもあります。バリアフリーリフォームの費用(数十万~数百万円)も考慮しておきましょう。

介護保険の住宅改修費支給制度を利用すれば、上限20万円のうち1~3割負担(最大18万円支給)でリフォームできる場合があります。

賃貸の場合

賃貸住まいの場合、家賃を生涯払い続ける必要があります。仮に月7万円の家賃を30年間払い続けると、総額2,520万円になります。

総務省の家計調査で示されている高齢単身世帯の住居費(月約1.3万円)は持ち家の人も含むため、賃貸の場合は毎月5万円以上の上乗せが必要と考えておくべきでしょう。

また、高齢になると賃貸住宅の契約が難しくなる可能性もあります。保証人の問題や、大家の高齢者入居への懸念などがあるためです。UR賃貸住宅や自治体の高齢者向け住宅など、高齢者でも入居しやすい選択肢を事前に調べておくと良いでしょう。

趣味・旅行・医療など生活の多様性に応じた費用

老後生活の質を左右するのが、趣味や旅行、交際に使えるお金です。

総務省の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の教養娯楽費は月約1.5万円です。読書や映画鑑賞など比較的お金のかからない趣味もあれば、ゴルフや海外旅行のようにまとまった費用がかかる趣味もあります。

年に1回国内旅行に行くなら10万~20万円、海外旅行なら30万~50万円程度を見込んでおくとよいでしょう。趣味にどれだけお金をかけたいかで、必要な貯蓄額は変わってきます。

同調査では、高齢単身世帯の交際費は月約1.6万円となっています。独身で老後を過ごす場合、友人や知人との交流は心の健康を保つうえでも大切です。冠婚葬祭の出費や、帰省の交通費なども考慮に入れておきましょう。

70歳以上になると医療費の自己負担割合は原則1~2割に軽減されますが、入院時の差額ベッド代(1日5,000円~1万円程度)や、先進医療など保険適用外の費用は全額自己負担となります。

持病がある場合や、がんなどの大きな病気に備える場合は、医療費の予備資金を多めに確保しておくと安心です。

介護費用や健康リスクへの備え方

独身者にとって、介護への備えは避けて通れないテーマです。配偶者や子どもによる在宅介護を前提にしにくいため、将来的には介護サービスや施設入所を利用する可能性が高くなります。元気なうちから現実的な費用を把握しておくことが安心につながります。

生命保険文化センターの調査では、介護費用の総額は平均約542万円とされています。内訳は一時費用が約47万円、月額約9万円を55か月分という計算です。施設介護を利用する場合は月額費用が平均13.8万円に上がるため、総額はさらに大きくなります。期間が長引けば、その分だけ負担も増えていきます。

40歳以上は公的介護保険に加入しており、要介護認定を受ければ原則1~3割の自己負担でサービスを利用できます。負担割合は所得に応じて決まります。

参照:サービスにかかる利用料|厚生労働省

自己負担が一定額を超えた場合に払い戻しを受けられる「高額介護サービス費」の仕組みもあります。制度の内容を知っているかどうかで、実際の負担感は変わります。

公的制度だけでは心もとないと感じる場合、民間の介護保険を検討する方法もあります。要介護状態になった際に一時金や年金形式で給付を受け取れる商品があり、施設入居費用などに充てることができます。保険料が長期にわたって続く点は冷静に見極めたいところです。家計を圧迫しない範囲で備える姿勢が現実的です。

頼れる家族がいない前提で考えると、資金の準備は自分を守るための手段になります。早い段階から情報を集め、無理のない計画を立てておくことが将来の安心につながります。

老後資金の管理と定期的な見直しの進め方

老後資金の計画は、一度立てたら終わりではありません。年金制度の改正、税制の変更、物価の変動、そして自分自身の健康状態や生活環境の変化に応じて、定期的に見直していく必要があります。

将来の年金受給額を把握することは、老後資金計画の出発点です。ねんきん定期便やねんきんネットなどで確認してみましょう。

計画を修正するタイミング、収支を可視化する方法について解説します。

年金制度や税制の変更に対応した計画の修正

年金制度や税制は、社会情勢に応じて変更されることがあります。計画を立てた当初とルールが変わっている可能性もあるため、定期的に最新情報をチェックしましょう。

近年の主な制度変更
  • 2022年:厚生年金の適用拡大(パートでも加入できるケースが増加)
  • 2022年:iDeCoの加入可能年齢が65歳まで拡大
  • 2022年:在職老齢年金の減額基準緩和(60~64歳の基準額が28万円から47万円に)
  • 2024年:新NISAスタート(年間投資枠360万円、非課税保有限度額1,800万円に拡大)
  • 2024年:iDeCoの掛金上限引き上げ(企業年金加入者向け)

年金の受給開始を65歳より遅らせると、1か月ごとに0.7%ずつ受給額が増加します。70歳まで繰り下げれば42%増、75歳まで繰り下げれば84%増となります。老後の働き方や貯蓄額に応じて、繰り下げ受給を検討するのも一つの選択肢です。

ただし、繰り下げている間は年金を受け取れないため、その期間の生活費をどう賄うかを考えておく必要があります。また、繰り下げによって医療・介護保険料の負担が増える可能性もあるため、総合的に判断しましょう。

参照:年金制度の仕組みと考え方]第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給|厚生労働省

収支の見える化と長期シミュレーションの活用

老後資金の計画を実行に移すには、収支を「見える化」することが有効です。

現在の収支を把握するために、家計簿をつける習慣をつけましょう。手書きの家計簿のほか、スマートフォンの家計簿アプリを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して自動的に支出を記録することもできます。

将来の収支を時系列で整理した「キャッシュフロー表」を作成すると、資産がどのように推移するかを把握できます。収入(年金、運用収入、就労収入など)と支出(生活費、一時費用など)を年ごとに書き出し、資産残高がいつ頃ゼロになるかを確認します。

もし70代や80代で資産が底をつく計算になれば、支出の見直しや収入増の対策が必要です。

少なくとも1年に1回は、計画の進捗状況を確認しましょう。昇給や転職で収入が変わったとき、住居が変わったとき、大きな支出があったときなども、見直しのタイミングです。また、50代になったら、より具体的な老後のプランを練り直す良い機会です。

老後資金の準備に「正解」はありません。自分の価値観やライフスタイルに合わせて、納得できる計画を立てることが大切です。不安を感じたら、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも一つの方法です。

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