損をしたくない思いが損を呼び込む!?「プロスペクト理論」とは

【こちらのコラムの内容は動画でもご覧いただけます】
https://youtu.be/E8qacjLVhnI

今回のテーマはプロスペクト理論です。

プロスペクト理論とは、意思決定モデルの1つでダニエルカーネマン氏とエイモストベルスキー氏によって展開された損失回避の行動選択に関する理論です。

2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。

 

皆さんこのような経験は無いでしょうか?

・期間限定セールに心が揺れる

・ポイントの有効期限が気になる

・無料キャンペーンにひかれる

投資経験のある方は、このような経験は無いでしょうか?

・売り時を逃して値下がりしてしまった

・値下がりして売るに売れない商品がある

・利益をすぐに確定してしまう

 

これら全てプロスペクト理論が関係しています。

 

実際に以下のような場合で考えていただければ理解が深まると思います。

まず【質問1】です。

A:無条件で700,000円が手に入る

B:1,000,000円手に入る しかし25%の確率でもらえない

仮にどちらかしか選択できないとすればあなたはどちらを選びますか?

 

この質問を100人に行うと、90%の方がAを選びます。

 

続いて【質問2】です。

A:700,000円支払う

B:1,000,000円支払う しかし25%の確率で支払わなくて良い

【質問1】はもらえるかもらえないかの選択肢でしたが、質問2か支払うか支払わないかという一切メリットがない非情な質問です。

こちらも、どちらかしか選べないと想定しお考え下さい。

 

結果はBを選ばれる方が90%となります。

 

この回答結果は弊社のセミナーアンケートをもとに作成しています。

ただ、セミナーによっては70%だったり80%になることもあります。

ご理解いただきたいのは、【質問1】の場合はAと答える方が多く、【質問2】に関してはBと答える方が多い、ということです。

 

ここから質問と回答をそれぞれ振り返りたいと思います。

【質問1】はAを選ばれる方が多いです。

Aは、何もしなくても70万円手に入りますが、Bは25%の確率でもらえる金額が0になります。

確実にもらえるAを選択した方が多いと思います。

 

【質問2】は、Bを選んだ方が多いです。

Aはとにかく700,000円支払わなければいけないですがBは25%の確率で支払わなくて済みます。

そのため100万円払う可能性があったとしてもBを選択した方が多いと思います。

このように、人は利益に対する感情よりも損失に対しての感情が大きくなりやすいので、セールを逃すのは損だと考えたり、せっかくのポイントを失う事はもったいないと考えてしまいます。

日常でも運用においても、損失を避けるための行動を取りやすいといえます。

 

運用についてもう少し見ていきたいと思います。

こちらのグラフ横軸の右側が上昇、左側が下落、縦軸の上側が喜び下側が悲しみとなっています。

仮に株式や投資信託を10,000円で購入したとします。

その後10,000円から1万1000円になったときの喜びはAのように上昇します。

その後値上がりしても喜びは最初ほど大きくなりません。

このようなケースですと早めに利益を確定しやすくなります。

 

続いて1万2000円から1万円に下がるとした場合、Cのように喜びが減ります。さらに8000円まで下落するとDのように悲しみが大きくなります。

悲しみが大きいので損失を確定できずに保有継続し続け、売るに売れなくなるケースがあります。いわゆる塩漬け株のような状態です。

逆に、8000円から9000円に戻ると考えると、その期待感は大きくなるといえます。

そのため上がることを期待して持ち続けたり、少し上がっただけでも売却する行動を取りやすくなります。

喜びよりも悲しみの方が強く感じますので投資判断にも大きく影響があります。

 

ではどうやって克服するのか。

今回は「期待リターンからルールを決めて運用する方法」をご紹介します。

まず、期待リターンを把握します。

期待リターンとは資産ごとに運用した場合の年間リターンの目安となるものです。

例えば国内株式ですと6%、先進国株式ですと7%となっています。

これらを参考にルールを決め、それに基づいた運用を行います。

短期運用をしているのであれば、先進国株式の場合は7%ですので1年間で7%以上利益が出たら売却すると言うのでも構いませんし、2倍の14%でも構わないと思います。

また、長期運用であればあるほど期待リターンに近い運用成果が見込めると考えられますので、急ぐお金でなければ売却せずに長期運用することをお勧めします。

そして利益だけではなく、損失が出た場合についてもルールを決めておきましょう。

10%損失が出たら売却するなどのルールを決め、それに基づいて実行することが重要です。          

人は損失回避をしたくなります。

目先の損得に流されていないか考えましょう。

そして期待リターンを把握し、ルールを決めることで合理的な判断をしていくことが肝要です。

 

プロスペクト理論をご理解いただき投資に活用いただければと思います。

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